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Channel: 世界史の扉をあけると2
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★智恵子の苦しみ ー中村佑子の光太郎批判ー

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◆たまたま手にした『図書』10月号(岩波書店)に、中村佑子の「冷たい乙女たちー高村智恵子に寄する」が載っていました。

 

◆女優のモニカ・ヴィッティ十和田湖畔の自分の体験(まるでドラマの一場面のようでした)から書き始められた、痛烈な高村光太郎批判でした。

 

◆中村は、智恵子の「病間雑記」の一節を引用しながら、智恵子について「透徹した知性と、果敢な理性によって死を捉えることのできる人」と述べていました。中村によれば、その智恵子を、光太郎は『「清さ」ばかりをよしとする価値観でがんじがらめにして、心を見えない紐で縛り幽閉した』のでした。

 

◆文芸評論家の斎藤美奈子も、智恵子が狂気に陥ったことの責任は光太郎にもあると述べていたと思います。

 

◆中村は、光太郎がつくりあげた「智恵子神話」から、「現実に狂い、生きた智恵子」を痛切な思いで救い出そうとしています。

 

ロダンの弟子で愛人だった彫刻家カミーユ・クローデルのことも思い出しました。以前、本ブログに書きましたが、彼女も、すばらしい才能に恵まれながら、狂気に陥ってしまった芸術家でした。


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